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細胞の老化とは|細胞老化の原因から仕組みまで研究結果を用いて分かりやすく解説します

「細胞の老化について理解したい」

あなたは今、そうお考えではありませんか?

教科書や他の記事を読んでも難しい内容ばかりで分からない。
もし、分かりやすくまとめてくれたら理想的ですよね。

そんなあなたに朗報です。
細胞の老化について、この記事では研究結果を基に要点を絞って解説するため容易に理解する事が出来ます

さらに、その原因やメカニズムについても解説するので、この記事を読めば細胞老化に関連する知識を一通り身につける事が出来ます

この記事では細胞の老化の定義からその原因・特徴まで詳しく説明していきます。

細胞の老化について深く理解して知識をまとめるために、この記事がお役に立てば幸いです。

細胞の老化とは

「健康長寿」より引用

動物の細胞は基本的に限られた回数しか分裂・増殖する事が出来ないことをヘイフリック限界と呼びます。例外的に細胞が無限に増殖するものとして、ES細胞、生殖系列細胞、体性幹細胞などの正常な細胞に加えてがん細胞といった細胞が存在します。

ヒトのヘイフリック限界は50回と言われており、ヘイフリック限界に達して細胞が分裂・増殖しなくなることを細胞の老化と言います。また、細胞周期の再開が可能な休止期にある細胞や最終分化細胞とは区別されます。

また、酸化ストレスや放射線などのストレスを受け、自己防御が行われる時に生体内の細胞が老化します。この現象は未成熟細胞老化と呼ばれ、こちらを細胞老化と呼ぶ場合もあります。

細胞老化の最も重要な役割は細胞増殖を停止することで、とても重要な抗腫瘍化機構の一つとして考えられています。

老化細胞の特徴

老化した細胞には共通した特徴があり、その性質を利用したバイオマーカーも多く存在します。ここでは主な特徴とバイオマーカーについて紹介します。

  • 細胞周期の完全停止
  • クロマチンの再構成
  • DNA損傷
  • 形質・代謝の変化
  • SASPの獲得
  • 特定のタンパク質を含有

細胞周期の完全停止

老化細胞の特徴は細胞周期が安定的に停止していることです。

自己防御のために一時的に周期を停止する静止細胞と違い、老化細胞はどのような刺激を与えても細胞周期が再開されることはありません

また、細胞周期の停止に関与するp16INK4A の発現は老化細胞でよく見られるため有用なバイオマーカーとなっています。

クロマチンの再構成

細胞核内に収納されるクロマチン
「早稲田大学理工学術総合研究所プロジェクト研究」より引用

老化細胞の特徴の一つは広範囲にわたるクロマチンの再構成です。顕著なものとしてSAHFが挙げられます。

SAHFを染色するものには

・HP1
・DAPI
・macroH2A
・ヒストンH

などがあり、この内、バイオマーカーとしてHP1は最もよく利用されます。

ただし、SAHFを形成せずに老化する細胞もあるので、老化細胞を見極めるには複数のバイオマーカーを使う必要があります。

DNA損傷

DNA二本鎖の断絶など、DNAが損傷することで損傷に対応して細胞周期を停止します。

そのため、DNA損傷は老化細胞を見つける1つの指標となり、具体的に見分ける方法は2つあります。

1つ目は、DNA-SCARSです。これは核内構造体のことで、p53、ATR、ATなどのDNA損傷応答(DDR)タンパク質を蓄積する事から老化細胞の可能性があると言えます。

2つ目はH2A.Xです。H2A.XはDNAが損傷した時に細胞周期を停止させ、DNA修復を行うのに必要なバリアントヒストンです。実際に電離放射線やUVの照射、放射性類似薬剤を使用してDNAを損傷させるとH2A.Xが反応してリン酸化する事が分かります。

SASPの獲得

老化した細胞の多くはSASPと呼ばれる炎症促進性の細胞非自律性表現型を獲得します。これには次のような有益な効果と有害な効果があります。

有益な効果 有害な効果
がんの抑制 がんを引き起こす
損傷治癒の促進 慢性炎症を引き起こす
加齢性疾患の発症を促進

このようにSASPには良い面と悪い面があり、がんを抑制したり、引き起こしたりします。

がんを引き起こす理由は、SASPが血管新生や細胞外のマトリクスのリモデリング、上皮間葉転換(EMT)を促進する分子を分泌することで腫瘍を促進するからです。

また、がんを抑制するのは、SASPが免疫細胞を老化細胞に動員して排除することが原因です。

形質・代謝の変化

細胞老化のモデル図
「メディカルレビュー」より引用

また、分裂増殖している最近に比べて、老化した細胞には次のような特徴があります。

・平べったい形をしている
・空洞が多い
・多核である
・核膜の完全性が失われている
・活性酸素レベルが高い

特定のタンパク質を含有

以下は老化細胞に特有のタンパク質、マーカーです。これらが多いと老化細胞である可能性が高いと言えます。

Senescence-associated (SA) β-galactosidase 老化細胞において、pH 6.0で活性が上昇する
p53 活性化することで細胞周期の停止が誘導される
Rb (Retinoblastomaがん抑制遺伝子産物) リン酸化を阻害することで細胞周期の停止が誘導される
p21CIP1 p53の下流でサイクリン依存性キナーゼを阻害する
p16INK4A pRbのリン酸化と不活性化を阻害する
Bcl-2 老化細胞で発現が増加し、アポトーシスを阻害する
macroH2A1.1 macroH2A1アイソフォーム、SAHFのマーカー
macroH2A1.2 macroH2A1アイソフォーム、SAHFのマーカー
H3K9Me2/3 (Lysine9がジメチル化またはトリメチル化されたヒストンH3) SAHFのマーカー
HP1 (heterochromatin protein 1) SAHFのマーカー
リン酸化ヒストンH2A.X (Ser139) DNA損傷のマーカー
Lamin B1 老化細胞における発現の低下し、核膜崩壊の原因となる
HMGB1 (High mobility group protein B1) SASP構成因子
IL-6 (Interleukin 6) SASP構成因子
TNF-α (Tumor necrosis factor α) SASP構成因子
MMP3 (Matrix metalloproteinase-3) SASP構成因子

▲CellSignalingより引用

細胞老化について大まかに理解するためには上記のものを全て覚える必要はありませんが、必要になった場合や気になったものを調べると良いでしょう。

細胞老化の原因


テロメアの構造と仕組み
「健康長寿」より引用

細胞老化の原因は、酸化ストレス、放射線、がん遺伝子の活性化によってテロメアが短くなることです。

テロメアは染色体の末端を保護する役割と持っており、細胞分裂のたびに短くなっていき、テロメアの長さが一定以上短くなると細胞周期の停止、つまりは細胞の老化が起こります。

細胞周期が停止するメカニズム

通常の細胞は下図ような、G2期の後に細胞分裂をして再びG1期を迎えるという周期で分裂増殖を繰り返しています。

細胞が老化する場合、分裂を回避する必要があり、その鍵となる物質が2つあります。

1つは分裂制御タンパク質です。これは細胞分裂を引き起こす物質であり、細胞を回避する際には分裂制御タンパク質が著しく低下している必要があります。

2つ目はがん抑制遺伝子の産物であるタンパク質p53です。これは分裂期の回避及び細胞老化に必須で、p53をG1期やS期に発現させても細胞老化の誘導が起こらなかったことから、G2期で必須な事が分かっています。

分裂期を回避した細胞は4倍体のG1細胞となり、細胞周期を不可逆的に停止することで老化細胞となる仕組みです。

また、ほくろの遺伝子を採取して実験した結果、生体に存在する老化細胞もG1細胞であることが示唆されました。

細胞老化 まとめ

今回は細胞老化の定義、特徴とバイオマーカー、原因、メカニズムについて解説しました。
今回学んだ基礎的なことを全て理解して、興味を持って頂ければ幸いです。